能舞台で繰り広げられる修善寺藝術紀行と極上のおもてなし
修善寺温泉の桂川沿いに佇む「あさば」は、1484年(文明16年)創業から500年以上の歴史を誇る、日本を代表する最高峰の旅館です。浅羽弥九郎幸忠が修禅寺曹洞宗開山のため当地を訪れ、堂守のかたわら門前に開いた宿坊として始まり、代々の浅羽家が受け継いできた格式ある老舗として、「人生で一度は訪れたい名旅館」として国内外から憧れを集め続けています。厳格な審査をクリアしたレストラン・ホテルのみが加盟できる権威ある国際的会員組織「ルレ・エ・シャトー」の加盟宿としても知られ、その品格と質の高さは世界的に認められています。
最大の象徴は、敷地内にある能舞台「月桂殿」です。明治後期に旧大聖寺藩主・前田利鬯子爵より寄進され、七代目浅羽保右衛門によって東京から移築されたこの由緒ある能舞台は、約600坪の池に影を落とす幻想的な佇まいで、時間を忘れて見入ってしまうほどの美しさを誇ります。約40年前から始まった「修善寺藝術紀行」では、人間国宝の野村万作、野村萬斎、尾上菊之助、松本幸四郎、井上八千代など、能楽・狂言・新内・文楽・琵琶楽・舞踊の第一線で活躍する師を招いた公演が年間11回開催され、闇夜の厳かな雰囲気の中で歴史ある能舞台での唯一無二の芸術体験を提供しています。
宿泊施設としての品格も最高水準で、総客室数は全16室という少数精鋭の構成となっています。2023年の改装により、従来の16室のうち8室を4室に統合し、現代のライフスタイルに合わせてベッドや内風呂を備えるなど、プライベート空間の充実を図りました。最も贅沢な客室「羽衣(はごろも)」は、広々としたリビングに縁側とテラスが新設され、能舞台を独占的に眺望できるスイートルーム仕様となっています。また、2019年に誕生した「はなれ天鼓」は220平米という広さを誇る1日1組限定の特別室で、本間とベッドルームがそれぞれ12.5畳という贅沢な造りが特徴です。
客室露天風呂も「あさば」の大きな魅力の一つです。源泉100%かけ流しの修善寺温泉は、弘法大師由来のアルカリ性単純泉で、さらりとなめらかな湯質が心も体もゆっくりとほぐしてくれます。「あさば」初の客室露天風呂からは、源泉掛け流しの温泉が常に溢れ、庭園美を愛でながらの忘れられない湯浴み体験が可能です。大浴場には竹林を渡る風が心地よい野天風呂や高野槙の内湯があり、時間帯により男女交代制で利用できます。
料理においても最高峰の評価を受けており、富士山南側に広がる駿河湾で揚がる新鮮な魚介、飼料や環境にこだわって美しい自然の中で育った天城山麓の軍鶏や黒豚、選び抜かれた地元・伊豆の伝統野菜や山葵など、厳選された食材がふんだんに使用されています。夕朝食ともにお部屋でいただくスタイルで、一品ずつ順番にできたての状態で提供される料理は、味はもちろんのこと、仲居さんのおもてなしの心も含めて特別な体験となります。「その時期にいちばんおいしい『地』のものを、奇をてらわず、丁寧に実直に料理する」という料理長の哲学が貫かれ、どの料理もすべてしみじみおいしく、記憶に残るものばかりです。
館内の設えも格別で、2022年に改装されたサロンは、宿泊客がくつろぐスペースとして新たに誕生しました。庭の木々や水音、鳥の声などが自然のBGMとして流れる静謐な空間で、チェックインやチェックアウトの前後に同行者とゆっくり対話できる憩いのスペースとなっています。ロビーの壁には韓国に生まれ日本を拠点に活動する世界的な美術家・李禹煥氏の作品が掲げられ、アート性の高い空間演出も見どころの一つです。
売店では宿で使用されている浴衣や純銀の鍋などオリジナルグッズ、ガラス、漆器などがセレクトショップのように並び、一流品を使って客人をもてなしていることが商品からも推察できます。バスアメニティには、イギリスコッツウォルズ生まれのオーガニックブランド「バンフォード」が用意されるなど、細部にまでこだわりが行き届いています。
アクセスは、JR東京駅から特急踊り子号で約120分で修善寺駅、そこからタクシーで約7分。または新幹線で三島駅まで約45分、伊豆箱根鉄道で修善寺駅まで約35分、タクシー約7分です。車の場合は東名高速沼津ICから約40分。駐車場は12台分完備されており、宿泊者は無料で利用できます。なお、修善寺駅からの送迎サービスはありませんので、タクシー利用が基本となります。
宿泊料金は1室2名利用で1泊2食付き1名82,650円からとなっており、最高級客室「羽衣」は同192,650円からです(いずれもサービス料込み)。チェックインは14:30、チェックアウトは11:30で、7歳未満は宿泊不可となっています(はなれ「天鼓」を除く)。
「修善寺藝術紀行」の公演日は特に人気が高く、毎年1月初めに電話でのみ予約を受け付けますが、すべての部屋が即完売となるまさにプラチナチケットです。宿泊者は自室から能舞台での公演を鑑賞でき、野生の鷺が太鼓に合わせて鳴くなどの自然のサプライズも含めて、他では決して体験できない贅沢な時間を過ごすことができます。
立地も修善寺観光には理想的で、竹林の小径、修禅寺、独鈷の湯、赤蛙公園などの代表的観光スポットがすぐ近くにあります。表通りから1本中に入った石畳の細い道に佇む立地は、修善寺温泉街の喧騒から離れた静寂な環境を提供しながら、観光の利便性も兼ね備えています。
常に宿泊客にとって居心地の良い空間を追求するため、定期的に建物や設えの改装を行い、細やかなおもてなしを心がけています。日本旅館ならではの伝統文化を大事にしつつ、風景と一体化する美の空間を取り入れることで、現代的な文化ともシームレスに共存する包容力こそ、「あさば」ならではの世界観です。
「あさば」での滞在は、単なる宿泊を超えた文化的体験といえます。500年以上の歴史が築き上げた格式と品格、能舞台での芸術鑑賞、源泉かけ流しの温泉、季節の美味を活かした料理、そして何よりも心からのおもてなしが調和した、日本の旅館文化の最高峰を体験できます。門をくぐった瞬間から凛とした空気に満ち、チェックアウトまでのすべてが流れるように進行し、宿に身を任せることで日常を完全に忘れた特別な時間を過ごすことができる、まさに「一生に一度は泊まりたい」と憧れられる理由がここにあります。修善寺の自然、土地のもの、職人たちと今も変わらず、「あさば」はひとつの家とともに時代を重ね、これからも日本最高峰の旅館として多くの人々に感動を与え続けることでしょう。
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