風雅な石畳と青竹が織りなす癒しの散策路
修善寺温泉街の中心を流れる桂川沿いに整備された「竹林の小径(ちくりんのこみち)」は、修善寺が「伊豆の小京都」と呼ばれる理由を体現する美しい散策路です。平成6年(1994年)から3年間をかけて丁寧に整備されたこの約300メートルの遊歩道は、石畳の美しさと青々とした竹林が調和した風情ある空間として、修善寺を代表する観光スポットとなっています。季節や時間帯によって異なる表情を見せる竹林の小径は、日本の伝統美と自然の魅力を存分に味わえる特別な場所です。
竹林の小径は、朱塗りが美しい桂橋から楓橋、さらに上流の滝下橋にかけて続く散策路で、道の両側には見事な竹が整然と立ち並んでいます。石畳の歩道は歩きやすく整備されており、年齢を問わず安心して散策を楽しむことができます。小径の中央部には竹製の大きな円形ベンチが設置されており、ここに座って見上げる青空と竹林のコントラストは格別の美しさです。風に揺れる竹の葉が奏でる自然の音楽と、桂川のせせらぎが重なり合う音風景は、都市の喧騒を忘れさせてくれる癒しの空間を作り出しています。
竹林の小径最大の魅力は、昼と夜で全く異なる表情を見せることです。昼間は竹の隙間から差し込む木漏れ日が石畳に美しい影を落とし、爽やかで清々しい空気に包まれた散策を楽しむことができます。特に朝の静寂な時間帯には、竹林を通り抜ける風の音と鳥のさえずりだけが響く神秘的な雰囲気を体験できます。一方、日没後にはライトアップが実施され、幻想的な夜の竹林へと変貌します。円形ベンチには修善寺出身の紙切り作家・水口ちはる氏による切り絵アートが投影され、「恋の橋めぐり」をモチーフにした橋の上で見つめ合う男女の影絵が浮かび上がり、ロマンチックなアートスポットとして多くのカップルに愛されています。
小径内にある「しゅぜんじ回廊」は、修善寺の文化と歴史を紹介する無料のギャラリーです。修善寺の四季の様子を写真で紹介する常設展示のほか、源頼家や北条政子に関する企画展、日本画展示、生け花展示会など、多彩なイベントが開催されています。竹林の小径散策の途中で立ち寄れば、修善寺の歴史と文化への理解がより深まり、散策体験がさらに充実したものになるでしょう。また、ギャラリー内にはお手洗いも完備されているため、散策中の休憩スポットとしても便利です。
竹林の小径と桂川は「恋の橋めぐり」のパワースポットとしても有名です。桂川には5つの美しい橋が架かっており、それぞれに恋愛成就のご利益があるとされています。上流の「楓橋」は別名「よりそい橋」、下流の「桂橋」は別名「結ばれ橋」と呼ばれ、思いを込めて橋を渡ると願いが叶うと言い伝えられています。各橋には御影石製の「橋紋(きょうもん)」というシンボルマークが埋め込まれており、これを探しながら橋巡りを楽しむ観光客も多く見られます。恋の橋めぐりのパンフレットは修善寺駅や総合会館で入手でき、カップルや恋愛成就を願う人々に人気の体験となっています。
竹林の小径では年間を通じてさまざまなイベントが開催されます。7月の七夕祭りでは、桂川を天の川に見立て、楓橋に竹のトンネルを作り、修善寺紙で作った短冊を飾る風情あるイベントが行われます。しゅぜんじ回廊にも七夕飾りが設けられ、竹林の小径にふさわしい日本の伝統美を感じられる催しとして親しまれています。また、過去には「桂座」と呼ばれる野外劇場としてミュージシャンのライブが開催されるなど、文化的な活動の場としても活用されています。
四季を通じて異なる魅力を見せる竹林の小径は、特に秋の紅葉シーズンが美しく、緑の竹林を背景に色づいた葉が輝く光景は格別です。春には新緑の美しさ、夏には涼やかな木陰、冬には雪化粧した竹林と、それぞれの季節ならではの風景を楽しむことができます。金木犀の咲く秋には、風に乗って届く甘い香りが散策をより一層特別なものにしてくれます。
竹林の小径は修善寺温泉観光の中心的なスポットとして、周辺の見どころとの連携も充実しています。独鈷の湯、修禅寺、指月殿などの歴史的スポットへの散策路としても機能しており、浴衣や着物での散策、人力車での観光、夜の散策用提灯ほたるかご作りなど、温泉街ならではの情緒あふれる体験プログラムも豊富に用意されています。
アクセスも良好で、修善寺駅からバスで約8分の修善寺温泉バス停下車後、徒歩数分で到着できます。温泉街には複数の有料駐車場があり、車でのアクセスも便利です。24時間無料で散策できるため、早朝の静寂な時間から夜のライトアップまで、時間を選ばず楽しむことができます。
竹林の小径は、世界的権威のグリーン・ミシュラン「ギド・ヴェール」で二つ星を獲得した、国際的にも認められた景勝地です。京都の嵯峨野と並び称される日本を代表する竹林として、国内外から多くの観光客が訪れています。修善寺の豊かな自然と歴史、文化が調和した竹林の小径は、日本の美意識と「おもてなし」の心を体現する特別な場所として、訪れる人々に深い感動と癒しを提供し続けています。風に揺れる竹の音に耳を傾け、石畳に映る木漏れ日を眺めながら、ゆったりとした時間の流れを感じてみてください。
基本情報
料金 |
無料 |
住所 |
静岡県伊豆市修善寺 |
電話番号 |
0558-72-2501(伊豆市観光協会) |
営業時間 |
24時間 |
定休日 |
年中無休 |
交通アクセス |
電車:伊豆箱根鉄道「修善寺駅」からバスで約10分、「修善寺温泉」バス停下車、徒歩約5分 車:東名高速道路「沼津IC」より約50分 |
駐車場 |
周辺に有料駐車場あり(修善寺温泉駐車場など) |
公式サイト |
伊豆市観光情報サイト |
マップ
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