【修善寺】日枝神社

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修善寺温泉を見守る古社

修善寺温泉街の中心部、修禅寺の東隣に静かに佇む「日枝神社(ひえじんじゃ)」は、大同2年(807年)に弘法大師空海によって修禅寺の鬼門鎮守として創建されたと伝えられる歴史深い神社です。もとは修禅寺の山王社として一体であったこの神社は、明治初年の神仏分離令により独立し、現在は縁結び・子宝祈願のパワースポットとして多くの参拝者に愛されています。修禅寺の賑わいとは対照的な静寂に包まれた境内には、樹齢800年を超える神聖な夫婦杉と源氏一族の悲劇的な歴史が刻まれており、修善寺観光において見逃すことのできない重要なスポットです。

日枝神社の最大の見どころは、境内左手にそびえ立つ樹齢800年以上の「夫婦杉」です。2本の杉の根元が一つになっているこの神木は「子宝の杉」とも呼ばれ、その威厳ある姿は訪れる人々に深い感動を与えています。高さ約25メートルにも及ぶ巨木は、長い年月を経て寄り添うように成長し、まさに夫婦の絆と子宝の象徴として崇められています。以前は2本の杉の間に階段が設けられ、くぐることができましたが、現在は樹木保護のため階段は撤去されており、その代わりに神木への畏敬の念を込めて少し離れた場所から拝観するスタイルとなっています。

境内のもう一つの重要な見どころが、根周り約5.5メートル、高さ約25メートルの「一位樫(いちいがし)」です。この巨木は九州地方に多く生育する樹種で、伊豆半島には珍しい樹木として静岡県の天然記念物に指定されています。「一位」という名前にあやかって参拝する人も多く、夫婦杉とともに日枝神社の象徴的存在となっています。境内全体が巨木に囲まれているため、神秘的な雰囲気に包まれており、都市の喧騒から離れた聖なる空間を体験することができます。

日枝神社は縁結び・子宝祈願で特に有名で、玉依姫の丹塗り矢伝説に基づいた独特の祈願方法があります。御祭神である大山咋神(おおやまくいのかみ)が狩りの際に放った美しい丹塗りの矢を建玉依姫が見つけて持ち帰り、毎夜眺めているうちに妊娠して神の子を授かったという伝説です。この故事にちなんで、女性は白い花を形どった「玉依の花」を、男性は「丹塗り矢」を持参し、夫婦杉の前で縁結び・子宝を祈願して絵馬のように願い事を書いて奉納します。これらの祈願用品は神社近くのレンタル着物店で購入でき、祈願の掛所も境内に設けられています。

日枝神社の境内は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての源氏一族の悲劇的な歴史の舞台でもあります。現在の境内には、修禅寺の八塔司の一つであった信功院があり、建久4年(1193年)に源頼朝の弟である源範頼が謀叛の疑いをかけられて幽閉された場所です。範頼はここで梶原景時率いる500騎の兵による不意打ちを受け、防戦の末に自刃したと伝えられています。現在、参道途中には「信功院跡」の立札とともに文政元年(1818年)に建立された庚申塔が残されており、源氏一族の栄光と悲劇を物語る貴重な史跡となっています。

日枝神社で入手できる「一願成就お守り」は、地元産の藁を使って一点一点手作りされた特別なお守りです。ちりめん細工の色が一つずつ異なり、どの色が手に入るかは運次第という楽しみもあります。しかし、社務所が開くのは週4日ほどで、さらに数量限定のため「激レアなお守り」として知られています。返納の必要がなく手元に置いておけるお守りとして、社務所が開いている時に遭遇できた幸運な参拝者だけが入手できる貴重なアイテムです。

年間行事では、毎年10月第3日曜日の前日に例祭が行われ、修善寺温泉街を中心に神輿やシャギリの山車が練り歩く華やかな祭典となります。御神酒所では観光客にも御神酒が振る舞われ、地域の人々と観光客が一体となって祭りを楽しむことができます。この祭りは修善寺温泉の秋の風物詩として親しまれており、日枝神社が地域コミュニティの中心的役割を果たしていることを示しています。

境内の手水舎は、巨石をそのまま刳り抜いて作られた趣深い造りで、自然の美しさと人工の技術が調和した芸術的な作品として参拝者の目を引きます。この手水舎で身を清めてから参拝することで、より神聖な気持ちで祈願に臨むことができます。

日枝神社の静寂な雰囲気は、修禅寺の賑わいとは対照的で、ゆっくりと心を落ち着けて参拝したい人々に特に愛されています。境内は木漏れ日が美しく差し込む神秘的な空間で、巨木に囲まれた環境は都市生活で疲れた心身を癒してくれる天然のパワースポットとして機能しています。多くの参拝者が、この場所で心の平安と新たなエネルギーを得ていると報告しています。

修善寺温泉観光の際には、修禅寺とセットで訪れることが推奨されており、両方を参拝することで修善寺の歴史と文化をより深く理解することができます。アクセスも良好で、修善寺温泉バス停から徒歩3分という立地にあり、竹林の小径や独鈷の湯などの他の観光スポットとも近接しているため、効率的に修善寺温泉街を巡ることが可能です。

日枝神社は、弘法大師の創建から1200年以上の歴史を持つ神聖な場所として、縁結び・子宝祈願、源氏一族の歴史探訪、巨木によるパワースポット体験という多面的な魅力を提供しています。修善寺温泉を訪れる際には、ぜひこの静寂に包まれた聖域で心を鎮め、古の人々が歩んだ歴史に思いを馳せながら、自然と歴史が織りなす特別な時間を過ごしてみてください。

基本情報

料金
無料
住所
静岡県伊豆市修善寺
電話番号
なし
営業時間
参拝自由
定休日
無休
交通アクセス
伊豆箱根鉄道「修善寺駅」よりバス約8分、「修善寺温泉」下車徒歩約3分
駐車場
なし
公式サイト
伊豆市観光情報サイト
※営業時間や定休日、料金など変更されている場合がありますので、お出かけの際は問い合わせ先にご確認ください。

マップ

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