伝統工芸に触れる
修善寺温泉街の静かな一角に佇む「民藝麦わらの店 晨〜あした〜」は、江戸時代中期から300年もの歴史を持つ伝統工芸「麦わら細工」の技術を現代に伝える貴重な工房です。世界で唯一となった「大森細工」の編み技術を継承する職人工房として、その美しい輝きと温かみのある作品は、多くの人々を魅了し続けています。麦わらの栽培から染色、加工まで全工程を一貫して手がける本格的な民藝の世界を、修善寺でぜひ体験してみてください。
工房の歴史は昭和21年、戦後間もない頃に初代・辻晨吾さんが師匠から大森細工の技術を受け継いだことから始まります。現在は2代目の紀子さんと3代目の享子さんの母娘が、77年間にわたって受け継がれてきた伝統技術を守り続けています。この工房でしか見ることのできない「大森細工」は、表面の編み目をひし形に美しく揃えることで丸みのあるシェイプを作り出す独特の技法で、現在世界でこの技術を持つのは紀子さんと享子さんのお二人だけという貴重な存在となっています。
麦わら細工には大きく分けて「編み細工」と「張り細工」があり、それぞれに異なる美しさと用途があります。編み細工の代表的な作品である「ほたるかご」は、江戸時代にはホタルなどの虫かごとして使われていましたが、現代ではドライフラワーを飾ったり、LEDライトを仕込んだ照明として活用されています。張り細工では、麦わらを平らに開いて艶やかなテープ状にしたものを使用し、小箱や色紙などに貼り付けて装飾品を作ります。どちらも麦わら特有の自然な輝きと温かみが魅力で、時が経っても美しさを保ち続ける耐久性も備えています。
工房では麦わら細工の制作体験も行っており、初心者でも気軽に参加できるプログラムが用意されています。体験料金は1,500円からとリーズナブルで、所要時間は20分から2時間と作品の複雑さによって選ぶことができます。人気のリース作りでは、4本の麦わらを十字に組み合わせて重ねていく基本技法を学びながら、オリジナルの作品を完成させることができます。体験中は熟練した職人による丁寧な指導があり、麦わら細工の歴史や技法についても詳しく教えてもらえるため、単なる手作り体験を超えた文化的な学びの時間となります。
材料となる麦は工房で自ら栽培されており、収穫から加工まで一貫した品質管理が行われています。草木染めによる色付けも伝統的な手法で行われ、季節や作品に応じて美しい色彩が施されます。現存する作品には100年以上を経たものもあり、麦わら細工の優れた保存性と美しさの持続性を物語っています。自然素材ならではの経年変化も魅力の一つで、時間とともに深みを増していく色合いや質感を楽しむことができます。
店内では完成品の販売も行っており、ミニリースやアクセサリー、季節の装飾品など多彩な作品が揃っています。特に干支の置物は毎年限定20個のみの制作となる貴重な作品で、縁起物として多くの方に愛されています。修善寺の桜をモチーフにしたミニリースなど、地域性を取り入れた作品も人気で、修善寺観光の特別な記念品として最適です。全ての作品は手作業による一点物のため、同じデザインでも微妙な違いがあり、それぞれに個性と温かみが感じられます。
アクセスは修善寺温泉街の中心部にあり、修禅寺や竹林の小径からも徒歩圏内の便利な立地です。営業時間は10時30分から17時まで、定休日は不定休となっているため、訪問前に電話やメールでの確認をおすすめします。工房見学も可能で、実際の制作風景を間近で見ることができるため、伝統工芸の世界により深く触れることができます。
「民藝麦わらの店 晨〜あした〜」での体験は、単なる観光や買い物を超えた文化的な価値を持つ特別な時間となります。現代の生活に失われがちな手仕事の温かさや、自然素材の美しさを再発見できる貴重な機会です。江戸時代から続く伝統技術に直接触れ、その継承に参加することで、日本の文化遺産を守り伝える意義深い体験をすることができます。修善寺温泉での滞在がより豊かで印象深いものになることは間違いありません。
基本情報
料金 |
体験:1,500円~(作品により異なります) |
住所 |
静岡県伊豆市修善寺806-1 |
電話番号 |
090-3149-9788 |
営業時間 |
10:30~16:30 |
定休日 |
不定休(Instagramでご確認ください) |
交通アクセス |
バス:伊豆箱根鉄道「修善寺駅」よりバスで約7分、「修善寺温泉」バス停下車、徒歩約1分 車:新東名高速道路「長泉沼津IC」より車で約35分 |
駐車場 |
あり(無料) |
公式サイト |
公式HP |
マップ
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